「母さんが夜なべをして 手袋編んでくれた 木枯し吹いちゃ 冷たかろうて せっせと編んだだよ」(かあさんの歌)
雪の降る寒い季節、赤い毛糸の帽子をかぶったお地蔵さんを見たことがあります。道行く人をたおやかな気持ちにさせてくれる、どこか懐かしい風景でした。
暖をとるために編まれたセーターや手袋には、一本の毛糸でつながる愛情や真心のようなものを感じます。
空と海の 色二本どり 毛糸編む 山田みづえ
「毛糸編む」は、冬の季語にもなっています。
さて、ファストファッションでニット製品が安く手に入るようになったせいか、最近では手編みは流行らないのかと思いきや、なんと編み物ブーム真っ盛りなのだとか。
この冬、海外サイトでびっくりするほど巨大な超極太毛糸が、トレンドになっています。
驚きのジャンボサイズ「超極太毛糸」
デカっ・・・。
一玉の重さは約1kg、一玉で大きさ横80cmX縦90cmが編めるそうです。(上の画像は数玉以上あります)
まるでロープのようなこの超極太毛糸の素材は、高品質のメリノウール100%、編み目一つで約7.7cmになり、完成品ならブランケット大サイズで約4.5キロ、厚みは約5cmもあります。
ふわふわの肌触りで空気を含んでとても暖かく、ビジュアル的にもインパクト大、SNSで拡散されるやいなや、高めの値段設定にもかかわらず大人気となったそうです。
専用の巨大編み針もありますが、上のJIF画像のように腕編みすることもできます。
ちなみに「腕編み」とは、自分の腕でニットを編む方法のことです。最近ではダイソーでも極太毛糸(といってもごく普通のサイズ)が販売されていて、マフラーなら1000円位で簡単に腕編みできるとのこと。
編み針(棒)はテーブルの脚かと思いました?この巨大毛糸のマフラーなら小顔に見えそう・・・
存在感がハンパないブランケット
ご参考までにマフラーで9000円、毛布なら50000円位で上記の海外サイトで販売されています。洗濯はドライクリーニングのみ。
クリーニング屋さんに「毛布お願いします!」と持ち込んだらビックリ仰天されるかもしれません。「布団ですやんか、奥さんコレ」みたいな・・・。笑
さて、編み物にする巻き糸はウールの毛糸だけとは限りません。
「そして私はレースを編むのよ~ わたしの横にはあなた~ あなたがいてほしい」 (あなた 小坂明子)
レースでなくてもいろいろな巻き糸が作れます。ここからはお金のかからないリサイクルアイデアです。
古Tシャツをリサイクル「Tシャツ・ヤーン」
こちらはTシャツ・ヤーンと言って、不要になったTシャツをカットして巻き糸にしたものです。
T-shirt Yarn DIY | DIY Idea Things | Pinterest | Tシャツの合わせ方、チュートリアル、シャツ
このTシャツ・ヤーンを使って、ラグなどの敷物マットや、カゴ、ストール・マフラー、ペットのお布団が編めます。
Crocheted rag rug.<3<3<3THIS | kurashi | Pinterest | ファブリック と フロア
Tシャツ・ヤーンの作り方
- 不要のTシャツを用意
- Tシャツの端をイラストのように、少し残すようにずらしたところで半分に折って、点線でカット
- 上下の部分は使えないので他の用途に
- カットせずに残した端の部分を⑤のように広げます
- ここがポイント!点線のように斜めにカットしていくと、つなぎ目のない長い一本の糸状になります
- カットしてできた布はやや引っ張り気味に巻いて、ヤーン(巻き糸)にします(引っ張ることでニットカットの生地端がくるんとカールし、ほつれ防止に)
実際、上のラグのサイズのものを作るには相当な量のTシャツが必要になります。
思い入れがあってなかなか断捨離できないニットカットや、不要の服をリサイクルして生まれ変わらせたい時などにいかがでしょうか。私はこれで布ぞうりを作りたいと思っているのですが、なかなか時間がとれずにいます。
このTシャツ・ヤーンの作り方さえ知っていれば、どんなアイテムでも糸状にしてリサイクルすることが可能です。
古ジーンズで作る「デニム・ヤーン」と「レジ袋・ヤーン」
作り方は上と同じですが、古ジーンズで作るとこんなデニム・ヤーンになるのですね。Tシャツヤーンのように伸縮性がないものの、藍小物のようなニュアンスにあるバッグに大変身です。
「いーとーまきまき いーとーまきまき ひいてひいてトントントン」(童謡・いとまきのうた)
リサイクルしてヤーン(巻き糸)になるのは何も布地だけではありません。
スーパーのレジ袋いで作るヤーンなら水濡れにも強いので、ランドリーバスケットにいいかもしれません。ただし最近はエコバッグ持参なので家にレジ袋が余ることはなさそうですが。
さいごに「編む」とは
糸・竹・籐(とう)・針金・髪などを互い違いに組み合わせて、一つの形に作り上げる。そのようにして、ある物を作り上げる。
「藺草(いぐさ)でござを編む」「髪をお下げに編む」など
「編集」という言葉が、いろいろな文章を集めて書物を作ることを表すと今回知りました。
「詩集を編む」と言い方があるなど、日本語は本当に奥深くて美しいですね。三浦しをんさんの小説『舟を編む』は辞書の編纂に関わる人のストーリーだとか。
モノを編んで何かを作り上げる行為は、手仕事の丁寧さや優しさや、糸と糸がつなぐ関係性と温もり、体に染み込んだ古き良き情緒を合わせ持つような気がしました。
着なくなった服をリサイクルするのも、物を大切にする人の愛情があってこそなのかもしれません。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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