皆さんは大人になってからも鉛筆を使っていますか。
日本人の多くが中学生くらいからシャープペンシルを持ち始めますが、それまでの小学校では、ほとんどの子供が鉛筆を使っています。
調べてみると、これは文部省が「日本語を見やすく、分かりやすく、効率的に書く」ことを目指し、小学校1年生から中学校3年生までの児童・生徒に硬筆書写教育を推進しているからだそうです。
コピーライターや絵を描く人、事務職など特定の職業の人には鉛筆派がいるそうですが、最近では鉛筆の存在感は薄れるばかりです。
パソコンやワープロが普及する前は、作家は原稿用紙に手書きで執筆していました。「手書きの人の方が文章が立つ」と故井上ひさし氏は語ったそうですが、今ではペンや鉛筆で執筆する物書きは少数派だとか。
子供時代に慣れ親しんだ鉛筆は、書き味の柔らかさや、消しゴムで消せるという懐の深さがあると思います。私自身も今では、キーボードを打つ指先が鉛筆代わりになっていますが、メモをとるときなどは鉛筆を使っています。
ちびた鉛筆を再利用するグッズが評判に
鉛筆は今では人気がなくなったと思いきや、短くなって使いづらくなった鉛筆をつなげて使うためのツールが話題になりました。
TSUNAGO つなぐえんぴつ削り
- 出版社/メーカー: 中島重久堂
- メディア: オフィス用品
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TSUNAGO は短くなった鉛筆をつなげて、 最後まで使うことができる鉛筆削り器です。 想いを伝え続け、短くなった鉛筆たちそして、 簡単には捨てられず、しまい込んでいた。 そんな、鉛筆を最後まで使いたいと想い TSUNAGOを開発しました
こちらは通常の鉛筆削りではなく、短くなった鉛筆どうしを連結する部分を作るという、少々込み入った設計なのですが、これが鉛筆を愛する人に大ウケして一時品薄になったほどだそうです。
世の中にはちびた鉛筆に愛着を感じて、再利用にお金を惜しまない愛好家がいることに感慨深さを覚えました。
余談ですが昔、短くなった鉛筆を、金属製のペンホルダーに差し込んで使いませんでしたか?少々安定が悪くて持ちにくいのですが、かなり昭和な話かもしれません。(笑)
さて、電動鉛筆削りが普及する以前は、鉛筆は小刀で一本一本削っていました。 子供の頃、祖父が1ダース箱から一本取り出し、見事な手さばきで鉛筆の芯をピンピンに削ってくれた想い出があります。
鉛筆の構造は、黒鉛と粘土を混ぜて焼いた鉛筆芯と木材を張り合わせた鉛筆軸からなります。
「芯を削って使う筆記具」から発展して、そんな鉛筆をアーティストがミニチュア彫刻作品にして世界を驚愕させたことをご存知ですか。
世界が驚いた鉛筆のミニチュア彫刻アート
●ロシア人アーティストSalavat Fidai氏
Salavat Fidai - artist and sculptor
写真は拡大撮影されたものなので大きく見えますが、お手元に鉛筆があればどうぞ大きさを想像しつつご覧ください。
エッフェル塔他
鉛筆の芯直径はHBで2ミリ程度、6Bでも3.4ミリほどですが、これらは普通の鉛筆とカッターを使用し、彫刻のようにひたすら手作業で削られた作品です。
●ブラジル出身のアメリカ在住アーティストDalton Ghetti氏
本業は大工さんです。
実はこの鉛筆彫刻アート、大きな話題になったのはもう何年も前のことで、その後追随するアーティストが手法を変えるなど進化しています。
●コロンビア人アーティストJota Julian Gutierrez氏
芯だけにとどまらず、鉛筆の軸まで使った木彫りアートに大変身ですが、もう神業としか言いようがありません。
●アメリカ人アーティストCindy Chinn氏
前の作品とこちらは、カーペンターズ・ペンシル carpenter’s pencilという、大きめの平べったい四角形の鉛筆を利用しているので、表現の幅が広がるようです。
左がセンチ表記
列車の高さはわずか3/16インチ(4.7ミリ)とのこと。線路の芯と軸の彫りがまた凄いですね。Cindy氏の作品は米ハンドメイドサイトEtsyでも販売されています。詳しくは上記サイトへ。
初めてこのアートを見た時はレーザーで彫っていると思ったほどですが、この精巧な作品が普通のカッターで作られているのに間違いはないようです。
「芯の硬さに応じて彫る力を微妙に加減しないと折れてしまう」とのことですが、実際にはどのサイズの鉛筆芯を使っているのかまでは不明でした。
標準の鉛筆の芯の直径は2ミリ程度ですが、中には10Bという規格外の鉛筆も登場していて、そちらは芯が4ミリほどもあるそうです。
いずれにせよ、このミニチュアレベルの作品を、よく肉眼と手作業で極められるものだと感心するばかりです。
実際にはカッターだけでなく、穴あけにはルーターやミニドリル、やすりを使用したり、手元の拡大鏡を使って作業するそうですが、鑑賞する側も虫眼鏡が必要かもしれません。
国内でも、最初にご消化したダルトン氏に影響を受けて、日本語文字の作品を作るアーティストがいます。
オーダーメイド製作品
鉛筆に感じるノスタルジーと鉄板の一本
ちびた鉛筆で私も試しに削ってみました!細く削ると芯がすぐ折れるなどして、あらためてこのアートのスゴさを実感しました。
試験勉強には鉛筆でノートに書いて暗記した経験がありますが、祖父が削ってくれたこと、小学校に入りたての頃、筆箱に並んだピカピカの鉛筆を見てうれしかったことなど、自分にとって鉛筆は一種ノスタルジーを感じさせる文房具の一つとなっています。
今、鉛筆の需要はパソコンの普及や学齢人口の減少で、年々減り続けているそうです。他にも子供の筆圧が弱くなり、今ではHBより柔らかい2Bが主流になっているとも聞きました。
また海外製品の鉛筆が100円ショップでも販売されていますが、芯がすぐ折れるなどの問題点があるので、「安物買いの銭失い」になる可能性大です。鉛筆でこれに優るものはないと思います。
- 出版社/メーカー: 三菱鉛筆
- メディア: オフィス用品
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昔ながらの何の変哲もないデザインではありますがご参考までに先程の山崎氏も、海外モノは芯が折れやすいので、鉛筆彫刻には国産の品質が欠かせないと述べていました。
以上、記事で鉛筆の良さを少しでも思い出してもらえたなら幸いです。最後までお読み下さりありがとうございました。
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