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人も街も空虚なだけのこの地ではじめての春を迎えようとしていた。噂を聞いてそのカフェへ行った。「都会に馴染めない人へ、私も同じです。」こんなメッセージ入りの誰かの無料の珈琲券を手に取り、小さなテーブルについた。何なのだろう、この感覚は。一杯の珈琲が冷え切ったからだと心を癒やしてくれた。ここにまた来よう。自分にも何かできることがあるはずだ。
これは私の空想です。「恩送りカード」というユニークなポイントサービスをするカフェがあるのですが、利用する人のことを想像して書きました。
恩送りポイントは見知らぬ誰か用に貯める
東京の「こはぜ珈琲」では飲み物1杯ごとにポイントがたまり、12ポイントでコーヒー1杯の無料券がもらえます。ただし無料券は自分用ではなくて誰かへのプレゼント用として使えるというもの。
店長がアメリカの同様の取り組みを知って、「カードを通じて交流が楽しめる」と4年前に始めました。コーヒー無料券は入り口のコルクビードに掲示され、「双子の人へ」や「小太りさんへ」など特定のメッセージを見つけた人が提示するとタダになる仕組みです。これまで500枚以上の無料券が発行され、約半分が実際に使用されました。
「無料券を使う人を想像してメッセージを書き入れる時、幸せな気持ちになれるはず。」券をもらった客が、次につなげるためにポイントカードを作ることも多いと話す店長。
見知らぬ誰かの優しい気持ちを受け取ったら、自分もほかの誰かにおすそ分けしたくなるのかもしれません。
ちなみに「恩送り」とは誰かから受けた恩をその人に返すのではなく別の人に送ることで、江戸時代から使われていた言葉です。人は元来、他人に親切にしたいと思っていて「恩送り」の現象は、時代を通して普遍的で、東日本大震災以降の国内で少しづつ浸透しつつあるそうです。
参考:読売新聞2017.2.14付
店長の言うアメリカでの取り組みとは「ランダムアクト・オブ・カインドネス」かと推測します。「ペイ・フォワード」とも呼ばれるものですが「見返りを一切求めない善意ある行動」のことで、対象を特定したり名乗らないで思いやりある行為をするといったムーブメントです。
こちらで取り上げました。
スタバで後ろに並んだ誰かにコーヒーを買うような恩送りを書いたこの記事には「(善意に)お金が介在する必要あるの?」というブコメをもらいました。
確かにお金というものは、私達が生きる上で切っても切り離すことのできない存在で、ある時とない時で心のあり方が違ってきます。中には「災いの元」とお金を忌み嫌っている人がいるかもしれません。珈琲をタダでもらうことにプレッシャーやありがた迷惑さを感じる人もいると思います。
けれども、もしお金を使うことで自分も他人も幸せになれるとしたらどうでしょうか。
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「お金で人の幸せは買えるのか?」を検証・TED
お金はすべてではないし、お金があるからといって幸福だとは限りません。ですが貧しいからいいというわけでもありません。
幸せはお金で買うことができるのでしょうか。
ハーバード大・社会心理学者のこんな研究がTED talksで語られていたのですが、答えはイエスでした。その方法とは「自分以外のためにお金を使うこと」だったのです。
マイケル・ノートン“お金で人の幸せは買えるか?” www.ted.com 上記リンクのプレイリストの6番目 Michael Norton How to buy happiness
(日本語字幕の設定でも見れます)
お金の使い方によっては自分や他人に恩恵をもたらすという、TEDでのプレゼンを要約するとこんな感じです。
「お金で幸せは買えない」という言葉は 多くの人の心に響くものだが、もし「お金で幸せは買えない」と思っているなら、それは適切なお金の使い方ができていないからだ。いつもと違う使い方をすることで、お金で幸せは買えることもあるのだ。
宝くじに当選するとどうなるのかというCNNの調査によると、宝くじの高額当選者は全財産を使い果たしたり、友人からお金をねだられるなど、人間関係がめちゃめちゃになり、宝くじに当たる前よりも借金の額は増えて友情が悪化してしまった。
お金は人生を滅ぼしたり人間関係を壊すだけではなく、人を利己的な性格に変えてしまい自分のためにしか行動しなくなるようだ。 つまりお金で私たちが幸せを得られないのは、「自分のためだけに使う」というお金の使い方が間違っているからかもしれない。
そこで人々がもし、他人のためにお金を使うようになったらどうなるのかを調べることにした。 人付き合いを避けるのではなく、積極的に行なったらどうなるのか、さまざまな実験を試みた。好きなように使っていいと少額のお金を渡して、あとで使い道と満足度を調べた。
学生の多くはスタバのコーヒー代にするなど、自分のためにお金を使った。世界各地で同様の調査すると、中には誰かへのプレゼントを買ったり、恵まれない友人の治療費に当てた人もいるなど、他人のためにお金を使った人もいた。
結果的に幸福感を得るためには、お金の使い道よりも「誰かのために使った」という事実の方が重要だということがわかった。つまり幸せを感じるためには驚くべき使い方は必要はなく、ちょっとした些細なことでも幸せを感じることができるということだ。
「もしお金で幸せは買えない」と思っているなら、それは使い方が間違っているだけだ。 自分のために何を買おうかと考えるほかに、そのお金の一部でも誰かのために使ってみて欲しい。
「自分のためにどう使おうか」ではなく、「5ドルで誰かのために何ができるか」と。最終的には使った以上に得られるものがあるはずだ。
与えた人にも恩恵がもたらされる
上記は科学的な検証ですが、誰かのためにお金を使うと、なぜ自分にも幸せや恩恵がもたらされるのかについては触れられていません。
ここからは「思考は似たようなものを引き寄せる」という引き寄せ法則をベースにした私の解釈なので、お好きでない方はスルーして下さい。
「恩送りポイントカード」の例でいえば「毎日のコーヒー代も節約しているのに人のことをかまっている余裕なんかない。」という声も聞こえてきそうです。
人生の様々なことが何らかの形でお金とつながっているので、お金がある方がたくさんの自由を得られて幸福感を味わえます。
いつもお金がないと嘆いていて惜しみながら使う人、少し余裕があってお金をこころよく使う人とでは、どちらも自分の幸せを願う点では同じです。
根本的に違うのは前者はいつまでたってもお金が不足している状態が続き、後者にはお金や豊かさが流れこむ余地があることです。なぜなら「不足」の思考は「不足の状態」を人生経験に引き寄せるからです。
誰でも純粋無垢な赤ちゃんを見たり、荘厳で美しい自然に触れた時や人の優しさを感じた時は、なんとなく真実と愛のパワーをハートで感じたり、自分以外の何かと一つの流れにのるような感覚になることがあるのではないでしょうか。 そんな時人は何の抵抗もない自由と幸福の状態にいて、私達のいる世界の「本質」に調和しているのだといいます。
こはぜ珈琲でポイントを貯めるたび、無料券を使う誰かを想像して幸せな気持ちになるのもある意味で同じような感覚だと思います。人の幸せを願うと同時に、自分にも幸せを引き寄せることになるというのがその法則です。賛否両論ありますが、少なくともこの考え方によって自分や周りの出来事が好転した経験がある身にはストンとおちるのです。
お金と引き寄せの法則 富と健康、仕事を引き寄せ成功する究極の方法 (引き寄せの法則シリーズ)
恩送りやランダムアクト・オブ・カインドネス、ペイ・フォワード。実践している人たちは体感的に知っているのかもしれません。与えることで自分にも幸せがもたらされることを。返報性の法則などとは次元の違う、究極のギブ・アンド・テイクを私はそこに見ます。
人は他人のために存在する。 何よりもまず、その人の笑顔や喜びが そのまま自分の幸せであるひとたちのために。 そして、共感という絆で結ばれている 無数にいる見知らぬ人たちのために。 アインシュタイン
最後までお読み下さりありがとうございました。