「宇宙を支配する法則は何か?」とモーガン・フリーマン氏のインタビュー記事

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「ゆく河の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。」

量子のあいまいな振る舞いと無常観

方丈記の冒頭に描かれた「諸行無常」は、量子力学でいう「量子のあいまいな振る舞い」に似ていて、この量子論的な認識は無常観を理解できる東洋人には馴染みがあるのではないかと、玄侑宗久氏は著書「現代語版般若心経」に記しています。

というのは「色即是空」で有名な般若心経は、「人が知覚するものは全て実体がない。それでも内部で繰りかえされる変化があり、この絶えざる変化こそが宇宙の創造原理」としているからです。

現在把握できるレベルでの物質の最小単位は素粒子だそうですが、量子力学では物質のミクロの様態は「粒子でありまた波である」です。

インドには古代から「これ以上分割できない元素」という考え方があり、それを「極微」「微塵」という予測をしていました。

そして、分割できない元素が集まって世界を構成することは、最終的に論理的に無理だと判断し、「空」という様態を発見していたのだと言います。物質を粒子の総合体として見るのではなく、あくまでもエネルギーに満たされた、全体の中のある種の凝集として捉えたのだそうです。

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アインシュタインの言葉「宇宙の総エネルギー量は常に一定」の原理は「色即是空・空即是色」の、実体がないのに常に関わり合い、変化し続ける全体性としての、この世界の現象とする捉えかたと相通じると、玄侑宗久氏は述べています。

マクロの世界を扱う相対性理論と、ミクロの世界を扱う量子力学のことは、この「モーガン・フリーマン時空を超えて」で頻繁に取り上げられるテーマのため、知識のない私にでも「そのようなものらしい」程度でなら理解することができています。

といっても番組で解説されることのほとんどは、正直言って「何が何だかわからない」の一言につきますが。

物体は物理的存在なのではなく、観測者と物体の間の出来事に過ぎず、観測する人によって結果が異なるということは、古代インドや仏教的認識と重なる部分でもあるようです。

実際、これだけ科学が進歩しているのにも関わらず、番組でくり返し伝えているのが宇宙の95%が何もわかってないということです。

玄侑宗久氏の言う、世尊が瞑想によって至らせようとした境地を、最新の科学はどう解釈しているのかを少しでも垣間見たい一心で「モーガン・フリーマン時空を超えて」を見続けている自分がいます。

「時空を超えて」ファンで般若心経の「空」に興味ある方には面白い一冊かも

現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))

現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))

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時空を超えて「宇宙を支配する法則は何か?」

2017年4月27日(木)放送の「宇宙を支配する法則は何か?」は、番組を視聴し続けている自分にとって、難解な量子力学の話を新たな見地から、一般人にもわかりやすく解説してくれる内容でワクワクしました。そしてあの疑問をシンプルなわかりやすい伝え方で示してくれました。

現代の物理学を支える二つの理論「相対性理論」と「量子力学」の関係性がどのようなものかについてです。

専門的なことはさっぱりわかりませんが、せめて「モーガン・フリーマン時空を超えて」を楽しむために最低限のことは知っておきたいと思っているので、今回少しでもクリアになってよかったです。

相対性理論と量子力学の関係を夫婦としてシンプルに例えていたのですが、それがとてもユーモラスで印象に残りました。

相対性理論と量子力学は夫婦!?

相対性理論は夫。 量子力学は妻。

夫(相対性理論)は光の速度の限界に生真面目に従うタイプ。

妻(量子力学)は常識にとらわれないアーティスト。

この二人はあまりにも個性が違いすぎて、一見うまくいかないように見えでも、実は仲良しで夫婦円満。

このエピソードでは、全宇宙を支配する法則の可能性や、くり返し登場するダークマター、ダークエネルギー、他にも量子のあいまな振る舞いで有名な二重スリット実験、初めて聞くカメレオン粒子のことなどの研究が紹介されていました。

http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2017-04-27/31/26843/1988023/

モーガン・フリーマン 時空を超えて「宇宙を支配する法則は何か?」より引用

著しい科学技術の発達にも関わらず、宇宙はいまだ謎に満ちている。宇宙をすべて支配する法則はあるのだろうか?飛躍的に謎の解明をけん引する量子力学の可能性に注目する。

相対性理論と量子力学の貢献により、科学の世界は飛躍的に進歩した。

しかし、この2つは全く違うもので、相いれないようにも見える。2つを統一するような法則を導き出せれば、さまざまな疑問が一気に解決できるのではないかという期待も高い。

今回は、特に難解な量子の世界に焦点を当て、量子の不思議な性質を視覚化する実験や、量子レベルの視点での時間と空間のずれなどを考察し、全宇宙を支配する法則の可能性を探る。

般若心経も量子力学も、あまりにも難解で内容のこれっぽっちも、私には理解することができません。ですがわからないからこそ、もっと知りたいという知的好奇心が湧いてもきます。

「モーガン・フリーマン時空を超えて」で「色即是空」はさすがに出てきませんが、「宇宙を支配する法則は何か?」のような、この世の創造原理を解明しようという稀有な科学ドキュメンタリーであることに違いありません。

有名な二重スリット実験と同様に、「現実とは一体何なのか?」と考えさせられる番組です。

話はうって変わって、モーガン・フリーマン氏自身、個人的に好きなエピソードがあるのかと調べていたら、こんなインタビューの記事を見つけました。

2015年に米サイエンスチャンネルでシーズン6を終えた番組に、メール形式でインタビューした時のものです。

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mentalfloss.com

画像は上記より引用、mental_flossメンタル・フロス(米メディア)の内容を英訳しました。

モーガン・フリーマン氏インタビュー「時空を超えて」終えて

「モーガン・フリーマン時空を超えて」は mental_floss メンタル・フロス(米メディア)がよく問いかけるような「我々はなぜこここに存在するのか、人は孤独なのか、死後の世界はあるのか」などの深淵なテーマに取り組む番組です。

先日放映が始まった(2015年3月)シーズン6でも、我々がこの世界にいる理由があるのかどうかなどの、普遍的な解明すべきトピックを追求しています。私達は番組ホストのモーガン・フリーマン氏とエグセグティブ・プロデューサーのジェームス・ヤンガー氏に、新シーズンの最新情報を聞いてみました。

記者:

番組では人間が持つ最大の疑問の数々と解き明かそうとしています。毎回どんな風に取り上げるテーマを決めるのですか?

モーガン・フリーマン:

番組には新シーズンを検討する有識者や専門家チームがいます。4年間番組を作ってきたプロデューサーもアイデアを持っています。 今年はこの偉大なコラボレーション・チームに、私も「生命の起源」というテーマのような一つや二つアイデアを提案しました。実際それは全く違った感じの「我々存在する理由があってここにいるのか?」となったのですが。

プロデューサー:

私達は各シーズンのテーマをミックスさせようとしています。宇宙論や宇宙の起源のような、極めて深遠な科学を取り上げるように思われていますが、実はもう少し現実に根ざしたテーマ、私達が長期的議論へシフトさせることができるような、宗教や人種差別・革命などのテーマを含めます。

記者:

では今シーズンでカットしたくないテーマはどんなものなのでしょうか。

モーガン・フリーマン:

私達がつきつめたいのは「無」や「永遠」なのですが、たった1時間の番組内でそんな内容を収められるはずがありません!私達はまた「超常現象」の分野も調査したいのです。「幽霊を心理学と脳の視点で科学はどう説明するのか」等の心霊現象についてのテレビ番組は、数多くありますが、人がなぜそう信じるのか科学的に解き明かす番組はありませんから。

記者:

番組ではこれまでに、様々な議論を呼びそうな分野に体当たりしてきましたが、今シーズンでは偏見のあるなしに関わらず、とりわけ反響の大きいテーマを取り上げました。なぜここまで科学の背後にある「何か」を重要視するのですか。

モーガン・フリーマン:

科学は偏よった考え以外できなくなるような説明をするのが常です。私達は意識しようがしまいが、先入観や固定観念に囚われているだけなのですが、日々物事を早く決めるにはそのような考え方をせざるを得ません。だから皆が持っているそんな偏見でしかない何かに、打ち勝たなければならないのです。

記者:

番組が視聴者に伝えたいことは何ですか?

モーガン・フリーマン:

私達の脳が先入観によって影響を受けるという事実を強調することは、偏見や人種差別の問題が個人的なものだと伝えるのに役立ちます。それをもっと広め、意識することが変革の始まりとなるのだと思います。

記者:

「時間が逆行できるか」「なぜ私達は実在するのか」「マトリックスの世界に生きるとしたら」などの、今シーズンのテーマの中で、一番お気に入りはどれで、またなぜそう思うのか教えてください。

モーガン・フリーマン:

「私達はコンピューター・シュミレーションの世界に生きているのか?」これは魅力のある発想です。全宇宙は文明の発達した、宇宙人のコンピューター内で生かされている可能性があり、それは科学的に大いに可能なのです。

記者:

それでは、これまでの中で好きなシーズンはありますか?

モーガン・フリーマン:

ひとつだけお気に入りのエピソードを選ぶことなどできません。どれも素晴らしいアイデアのものばかりだからです。ただし「海は思考するのか?」に関してはかなり楽しめました。海は単なる生命体というだけではなく、実際に生きていたり、思考したり、存在しているのかについてのエピソードです。

記者:

今回のインタビューでは、あなたが好奇心を持っていること、そしてあなたが何を学びたいかについて、またこの番組がどれだけそのために偉大な役割を果たしたかを話して下さいました。

これまでの「時空を超えて」の番組製作に携わる中で、一番クールで驚いたことは何ですか?

モーガン・フリーマン:

ゾンビの存在が本当だということです!脳が真菌によって攻撃される蟻の種があります。種を他のアリに移すためという唯一の目的で真菌が、蟻をウォーキング・デッドさながら本物のゾンビに変える話が一番インパクトがありました。

2015年3月30日のインタビューより

Through the Wormhole with Morgan Freeman airs Wednesdays at 10 p.m. on the Science Channel.

April 30, 2015

メール形式インタビューのせいか、終わり方が尻切れトンボ気味なのですが、モーガン・フリーマン氏が「海は思考するのか?」がお気に入りだと知り、録画を再視聴しようと思いました。最後のゾンビの話はシーズン5の"Is a Zombie Apocalypse Possible?“ かと思われますが、氏のおすすめならぜひNHKでも放映してほしいものです。

それにしてもやっぱり好きなんですよね、モーガン・フリーマン氏とあの語り口・・・。

最後までお読み下さりありがとうございました。

二重スリット実験のことも少しだけ

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