雑誌ku:nel「クウネル」がリニューアルしました。
クウネルは、「ストーリーのあるモノと暮らし」をテーマにした、マガジンハウスが発行するナチュラルライフ系の雑誌です。
メッセージ性のあるグラビアとエッセイ風の読み物で、食やインテリアを情報発信するスタイルが気に入っていました。
ずいぶん長い間、たまにしか買わなくなっていましたが、創刊号から1、2年くらいのクウネルはとくに良かったです。
何気ないモノや人の日常の「ストーリー」を切り取った記事にはあたたかみと、この雑誌でしか味わえない楽しさのようなものがあったからです。
リニューアル後のクウネルは、ファッション記事なども盛り込まれたセンスのいい雑誌になったような印象がありました。
旧クウネルの「お引越し?」号は永久保存版
リニューアルしたのなら、今持っている古いクウネルがとても価値あるものに思えてきました。絶対手放したくないです。
先日ファッション雑誌を処分したとき、クウネルは別でした。
雑誌以上の存在で、内容も少しも古びていません。
流行とトレンドを取り扱う雑誌は、時代が変わると内容も古くなるだけなので、惜しげも無く捨てています。
クウネル創刊号や、ムーミンの号は欲しいという人に譲りました。
自分的に永久保存版なのが「お引越し?」(2004年発行)の号です。
「スタイリスト岡本美代子の新しい部屋」の特集記事に感動しました。誰かのいた気配が残る部屋についてのエッセイです。
以下引用です。
「スタイリスト岡本美代子の新しい部屋」
20年近くも、代官山にあるその古い瀟洒なマンションを通るたび、「あの窓の向こう側はどんなだろう。」
スタイリストの岡本さんがあこがれ続けていたその部屋にやっと空きができ、引っ越しすることになった。
前に住んでいたおばあさんの気配が、まだあちこちに残る古い一室。
そこには思わず不機嫌になるほどの、ちぐはぐな作り付けの棚、やたら使いにくい台所があった。
それに許せないほど嫌いなお風呂のタイルの色。
配管やむき出しのコードなどに、一度は見放しそうになった。
それでも、20年間ものあいだ外側から眺め続けていた南側の窓の印象がこびりついて離れない。
「この窓のためだけに住むのも悪くない」
と岡本さんは考え直した。
引っ越し後はすぐにカーテンや家具は入れず、部屋の真ん中に立って、
ただそこの空気を感じ取ろうとしていた。
「今は部屋の出方を待っているんです」
「部屋にあうものは住んでみないとわからないので」
これまで使っていた、お気に入りのカーテンも北欧家具も、その空間に合わないと思ったら置かないで処分する。
「こうやって、最後は空間側にたつんです。」
そうこうしているうちに、大嫌いだったお風呂のタイルの色も少しづつ好きになってきた。
「空間がまとまりかけてきました。」
引っ越しして半年たった今も、時にやるかたない憤りをおぼえながら岡本さんは、自分が選んだ部屋と
大人らしい「折り合い」をつけながら暮らしている。
岡本さんの部屋のインテリアは、無造作な感じであまり飾り気がない。
「きれいに飾るのは下手だし、適当な感じの方が好きだから。」
岡本さんには、暮らす部屋をお店のギャラリーのように飾ることに、
まっとうな照れみたいなものがあるのだろう。
かなり端折っていますが、ざっとこんな内容です。
誰かの気配がまだ残る部屋
これは注文建築や新築物件にしか住んだことのないような、うらやましい人には理解できない感覚かもしれません
前に誰かがいた空間に、今度は自分がそこの主となり、落ち着くには
ある種の気持ちの切り替えが必要です。
そんなときは岡本さんのように、
部屋や空間の「出方を待つこと」を余儀なくされるように思います。
最初の頃は、例え表面的にリフォームされていても、前の住人の気配を嫌でも感じます。
自分ではどうしようもない、部屋のつくりだったり、壁、天井、お風呂に台所と、当然気に入らない部分もでてきますが、そこを選んだ理由の優先事項と引き換えに、嫌いな部分には目をつぶるという潔さがいるというわけです。
私は一泊するだけのホテルでもそんな風に、まず部屋や空間の出方を待ってから、最初に自分が腰を下ろす場所を決め、そこの空気感となじむようにしています。
そのあと、荷物をほどいてリラックスしはじめるのですが、それはちょっとした儀式にも似ているように思います。
「その部屋や空間の出方を待つ」
漠然と今まで感じていたことを、優しい言葉に変換してくれた、このクウネルの記事と出会った時は、本当にうれしかったです。
「 その部屋や空間の出方を待ち、折り合いをつけていく・・・。」
人間関係に通じるものがあるような気がしないでもありません。
それと、
「暮らす部屋をお店のギャラリーのように飾ることに、
まっとうな照れがある」
ということにも共感します。
私は人が住んでいる家なのに、生活感がほとんど感じられないような美しく整った部屋は苦手かもしれません・・・。
(片付けられない言い逃れ?)
全然片付いてない小汚い部屋も嫌ですが、ある程度「雑多な部分」があったりするのも、かえって落ち着くことができたり、居心地がよかったりするものです・・・。
●コート掛け&ワードローブの壁収納アイデア
Babble | Entertainment, News, and Lifestyle for Moms
それでも、暮らす部屋の「雑多な部分」が最近目立ってきたこともあり?空きスペース利用で、ちょっとしたワードローブの壁面収納棚のようなものを作ろうとして、いろいろと海外サイトのアイデアを調べていました。
イメージしたのは・・・。
壁の高さを利用した、帽子から靴など上から下までの
ジャケットやコートなど、日常よく使うファッションアイテムを
まとめて収納するDIYの作り付け棚です。
そんな中、見つけたのが、Mud Roomと呼ばれるスペースです。
新しい発見でした。
Mud Room
海外で、玄関や入口付近に靴を脱いだり、コートやジャケットを置く場所やスペースのこと
部屋で靴を脱ぐ習慣のない海外では、このMud Roomで、ジャケットやコートを脱いだり、泥のついた靴を履き替えるのだそうです。
以下、海外サイトより Mud Roomのご紹介です。
服やバッグ、靴だけでなく、本や物や道具なども一緒に置くこともできる
玄関入り口付近の収納スペースです。
Small Space Entryway Ideas | Apartment Therapy
How To Organize Your Home Room by Room
鏡を取り付けると空間にも広がりがでるし、出掛けには全身のチェックもできますね。
40 Brilliant DIY Organization Hacks | Brit + Co
電車の吊り棚?のようですが、上手な空間利用方法だと思います。
棚の上は、はしご利用でしょうか。
上がよく見通せて、圧迫感がないのはネットならではです。
A Simple Kind of Life: Trending: Pallets in Home Decor
こんな感じならホームセンターのすのこ利用でDIYできるかもしれません。イケアにないかな~。
最後に
海外のMud Roomの収納アイデアは、玄関の下駄箱に靴を収納する日本人的な感覚からすると、あまり馴染みがないかもしれません。
それでも視点を変えると、壁面を使って日常的に使うファッションアイテムを効率よく収納する方法としてなら、十分に応用がきくと思います。
もちろん、玄関でなくても他の場所や、ショップのディスプレイなどにも良さそうですし、色々参考になりました。
それに美しいインテリアとはちょっと違う、モノを使う「誰かががいる気配」を感じさせてくれる、このMud Roomの収納アイデア例にはとても好感を持てましたし、どこかあたたかみを感じました。
生活感も少しはインテリアの足しになるような気がします。人がいて、使ってこそ、モノの価値があるのですから。
最後までお読みくださりありがとうございました。