子育て中のパパ・ママにも見て欲しい・ドラマ「グリー」に学ぶ親子愛【LGBD】

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Best: Burt Hummel, 'Glee' by soboku | We Heart It

左:ゲイの息子カート 右:父・バート 「大丈夫だ」

 

LGBDの理想の父親・グリーのカートのパパ

 

今年の父の日にアメリカのTVドラマ史上「最高にカッコいいパパ・トップ10」に海外ドラマ「グリー」に登場するバート・パパが6位にランクインしていました。

ゲイである息子のカートの一番の理解者であり、社会の偏見や差別から全身全霊で守ろうとする父の在り方は、LGBDの人々の理想の親としてリスペクトされており、ドラマの全シーズンが終わっても大きな共感と反響を呼んでいます。

 

今回はこのドラマのファンの私が、LGBDについて調べたことと個人的に思うことについて書きます。

 

LGBDとは

 

最近よく耳にするLGBDの意味をご存じでしょうか。

LGBT とは、Lesbian(レズビアン, 女性同性愛者)、Gay(ゲイ, 男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル, 両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー, 性別越境)のそれぞれの頭文字をとった、セクシュアルマイノリティの総称を表します。

Q. 自分の子どもがLGBTと分かった時、親はどうしたらいいの? | Letibee Life

 

ここで ドラマ「グリー」について簡単にご説明します。

海外TVドラマ「glee」とは

オハイオ州ライマにある架空の学校、ウィリアム・マッキンリー高校の合唱部(グリークラブ)を中心に描かれるミュージック・コメディ・ドラマである。

放送開始直後から瞬く間に人気を博し、サウンドトラックが3作品連続で全米アルバム・チャートの1位を記録するなど、全米で社会現象を巻き起こす大ヒット作となった。

glee/グリー - Wikipedia

笑いあり、涙ありの傑作の学園ドラマはシーズン6までの7年で終わりました。 高校生のLGDB、黒人・アジア人などのマイノリティ、ハンディキャップを持つ登場人物がいじめを受けるシーンも数多くでてきますが、ドラマはコメディタッチの明るいミュージカル仕立てです。

 

理想の父・バートも実は葛藤してた

 

メインキャストの一人、高校生で歌の上手なゲイのカートとその父バートの親子愛には胸を打つものがありました。

カートが8歳のころに母親が亡くしてからは父子家庭だったのですが、シーズン1で息子がが父に自分がゲイであることを告白するシーンは有名です。

 

息子カートにしてみれば、父にずっと隠してきたつもりだったのに(実際は誰がどう見てもわかるのですが)父は表情一つ変えずに

「知ってたさ、お前が3歳のとき女物のハイヒールで遊んでた時から」とあっさり返したので、カートが拍子抜けするシーンです。

 

このお父さん、バートの仕事は自動車整備工、マッチョで男っぽいタイプなのですが、TVでアメフト観戦している横で対照的に息子はファッション雑誌を読んでいたりします。

普段は息子を溺愛するわけでもなく、むしろ男っぽく突き放すような接し方をしているのですが、何かあったときは全力で戦ってくれる頼もしい父親です。

 

息子に 「知ってたさ」と言い放ったときは、すごく理解のある父親なんだと単純に思うのですが、実は彼自身も息子がゲイであることを受け入れるのに苦しんだことがわかります。

 

後にバートは、グリークラブの同級生(フィン)の母親と再婚することになるのですが、連れ子同士でカートと同じ部屋になると知った同級生は、彼が一生懸命模様替えした部屋を見て

「気持悪いんだよ、こんなゲイっぽい部屋にいられるか!」ときついセリフを吐くのですが、それを小耳にはさんだ父バートは、すかさずこう怒ります。

 

「おいっ、おまえ俺の息子に今なんて言った!?」

 

「昔も今も差別意識は変わらない、ゲイは間違った存在だといまだに叩かれる。俺は頭が古いから考えを変えるのに何年もかかったけど、お前は違う、イマドキの考え方してくれていると思ってたのに見込み違いだったんだな!」

「悪いがこれ以上、家にはいてもらえない、俺の家族を守るためには仕方ない。」


ここでドラマの視聴者はバート・パパも、その事実を受け入れるのに何年もかかっていたことを知るのです。

 

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The 10 Coolest Dads on Television | Glee の名言、Glee、名言

「よく聞け、誰を恋愛対象にしたっていいお前の自由を守るためなら、俺は死ぬ気で闘ってやるからな。」

 

わが子がゲイだとカミングアウトしたら

 

 少々ヘビーな話題になりますが、もし皆さんが子を持つ親でわが子にLGBDであることを告白されたら受け入れる自信はありますか。多くの人は動揺しショックを受け、拒絶し取り乱すそうです。

 

自分の子どもがLGBTだと分かった時、まず最初に落ち着きましょう。LGBT は全人口のうち5〜10%は存在し、日本で言えば左利きの人と同じくらいの比率で一定数存在する人たちなので、自分の子どもが左利きであってもおかしくないように、自分の子どもがLGBTであることは何もおかしいことではありません。

 

とくに日本では知識の無さから色々と誤解されている部分も多いのですが、これらの性的指向は生まれる時に選択してきた生き方なので、変えようがないということなので、それを私たちが理解する必要があります。その指向はその人の個性の一部なだけであって、その人の全人格ではないのです。

 

またバート・パパのように、もし気づいていたとしても問いただしたりせずに、教えてくれるまで待つことが大切で、その時がきたら勇気をたたえて、教えてくれたことにありがとうと言ってあげるのが理想といわれています。

 

エアラインでの昔の個人的な内輪話

 

外資系エアラインで働いていた時、ゲイのスチュワードが一定数いて、よくフライトで仕事をしました。今も昔もこの傾向は変わらないと聞きます。

彼らは会社にうまく溶け込んでいて生き生きと仕事していて、同僚から差別を受けたりすることなど、私の知る限りはありませんでした。むしろ仕事が丁寧だと評判もよくて、性格が明るい人が多かったように思いますし、一緒に仕事するのは楽しかったです。

レズビアンのスチュワーデスもいたようですが、女性の場合は表面的に出てこなかったのであまりわかりませんでした。

 

もしお若い方で自分を隠すことなく働ける就職先を検討中なら、こんな話も耳に入れて欲しいと思って書きました。外資系エアラインのCAは日本人男性の採用枠は数社あります。

最近の世界的な傾向として同性婚が合法化されつつありますし、人の平等と多様性を認めるべく、国内でも同性パートナーや事実婚を配偶者認定するとした企業も出てきています。はてな(株)もLGBDフレンドリーのダイバーシティ施策を最近打ち出したばかりです。

はてな(株)は2016年8月1日のプレスリリースで同性のパートナーや事実婚のパートナーに対しても「配偶者として定義する」と社内規定を変更する事を発表しました

国内でも少しずつ社会的に認知する動きがあるようです。

ライフネット生命は死亡保険金受取人の指定範囲を拡大し、新たに異性間の事実婚に準じる「同性のパートナー」を受取人に指定可能とする

実は民間、ビジネス界ではLGBTsへの取り組みは長年行われてきていました。LUSHジャパン、トムソン・ロイターやゴールドマン・サックスなどといった様々な外資系企業が中心となって、社内のLGBTsの従業員も働きやすい環境の構築や、新卒採用におけるLGBTsの大学生に向けた新卒採用、そしてLGBTsをテーマにしたキャンペーンなどが行われていました。

LGBTsへアプローチし始めた日本企業 [セクシュアルマイノリティ・同性愛] All About

 

私自身はLGBDではありませんが、国際線フライトでジャンボ機に搭乗する現地人クルー15人に日本人クルーが3人、計18人が乗務する中、「少数派」として軽いイジメを受けて、嫌な思いをしたことがあります。

なぜかというと、日本人客室乗務員は同じ外資系エアライン内でも、客室乗務員の出身国の物価に応じて基本給が高いのですが、そのことにやっかみを持つ現地クルーで「日本人嫌い」の人たちが、一部ですが存在したからです。

 

そんな時は彼らは「私」のことが嫌いなのではなく、日本人だから憎まれている、と目をつぶるしかありませんでした。だからLGBDだからと、その人の人格を無視して偏見を持つのは、あってはならないことだと考えるのです。

 

ゲイの人の存在は、日本ではテレビでよく見る人が知られているだけで、身近にいるなんて誰も思わないようです。けれどもたとえばクラスや職場に一人はいるともいわれています。

外資系CA経験者は皆同じですが、私は電車やお店などでその人の視線やまばたきの仕方などを見ただけで、なんとなくゲイの人かどうかがわかります。昔の経験から、そんな時は心の中でそっと応援しています。国内でもLGBDへの理解がもっと浸透して、皆が生きやすい世の中になることを願うばかりです。

 

親としてして子に与えられる最大の贈り物

 

話は戻りますが、親が子にLGBDだとカミングアウトされてショックを受けるところで、絶対に取り違えてはいけない点が一つあると思います。

それはわが子の事実を知ったあと、何が親としてつらい思いにさせるのかということです。

「ご先祖さまに合わせる顔がない」「世間体」?わが子への期待の大きさから?「育てた方が間違った?」「一生隠しつづけてほしい?」

その一言は子供への凶器にもなるかもしれないのです。

私のアメリカに住む友人はお国柄、そんな日がくることもあるとわが子のために前もって知識を得ようとしていました。(実際は違ったのですが)

 

ドラマ「グリー」でも告白したのに、理解してくれない家族もあります。

それだけにバート・パパが親として子供の最大の理解者となり、わが子を全力で守ろうとする姿が感動と涙を誘うのですが、ここに親としてあるべき道を教えられている気がします。

「LGBDの理想の父」と言われる所以ですが、それは

子のありのままの姿を受け入れるという、無償の愛や無条件の愛です。

 

わが子がどんな子であっても、何をしようと、どんなことを望もうとも、すべて受容して認めて理解することが、親として子に与えられる最大の贈り物だと思うのです。

 

これは簡単にできそうで、そうでない部分があるのが現実で、親も人間なので、競争主義に満ちた子育て環境の中、自分を見失うことが多々あります。

そんな時はつい何かができたらいい子、そうでなかったらよくない子という見方をしてしまうことがあるのです。

 

子を持つ親として私自身も、子育てでは様々な試練を乗り越えてきました。 私自身もわが子のことで悩み苦しんだ時期があります。

ですが、どんな状態であっても愛して理解して、無条件に受け入れ、「いつでも味方だよ」と寄り添うことの大切さに気付いてからは、親子愛が揺らぐことがなくなったのを身をもって経験しました。その意味で、ドラマ「グリー」のバートには個人的に深い共感を覚えるのです。

 

カートのパパ再婚・尽きない親子愛

 youtu.be

上はドラマで、バートが急病で入院したときに、父の回復を祈って息子カートが歌った曲です。

当時のツイッターで「グリーのカート・パパが死ぬのでは?」という噂が飛び交い、ドラマの制作者が「ドラマの重要人物を死なせはしない。」と答えたというエピソードがあります。

その後、無事退院して再婚が決まり、グリークラブのプロデュースの披露宴が行われました。

バート・パパと例の件でぎくしゃくした関係だったフィンは、両親へのはなむけに「カートはありのままでいいんだ、君はすばらしい」のメッセージをこめて歌う感動の曲が下です。

 

その時ゲイであるカートを理解することで、本当の意味での兄弟になれました。

ちなみにパパたちの新婚旅行用だった費用は、酷いいじめからカート守るための私立へ転校するための学費へと変わりました。

 

youtu.be

 

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息子カートが夢をかなえるためにニューヨークへと旅立つ日、空港へ見送りに来たバートは「いつでも帰ってこい。そんなことはないだろうけどな」と送り出します。

「パパはいつだって僕の最高のお父さんだよ。」息子も父を心から敬愛していてその絆はどこまでも深いのです。

 

このあとバートが静かに涙ぐむシーンは感動的でした。

「故郷に錦を飾るまで帰ってくるな」などと、このパパが言うはずがありません。

 

最後に

 

たかがドラマされどドラマですが、「グリー」ではLGBDだけでなく、生徒や教師、親まで問題を抱えている人が多々登場します。それぞれが人間的に成長し、お互いに理解しあって共存していくシーンには色々教えられることが多いです。

 

悩んでいる人やその周りにいる人が、LGBDや障害を持つ少数派についての理解を深めるために、また全米でリスペクトされる「本当の親子愛」がどんなものかを垣間見るためにも、この人気海外ドラマ「グリー」を見て損はないと思います。

繰り返しになりますが、あくまでも基本はコメディタッチで笑えて泣けるストーリーなのですが、そのテーマは深く秀逸なドラマです。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。

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